第 62 集 (2009年09月)

□ 「チョワヨー!」 釜山で初の車いすダンス公演
          ~広島・釜山協会提携15周年記念事業~

地元紙「釜山日報」で報じられた記事と写真

 

障がいをもつ人たちにもダンスを楽しんでもらおう、という車いすダンスの初めての韓国公演が、当協会と釜山韓日協会の力添えで9月25日(金)、釜山広域市で行われました。体の不自由を乗り越えてダンスに挑戦する障がい者の姿が国境を越えて韓国でも感動を呼び、公演は大成功でした。
  今回、釜山広域市を訪問したのは広島車いすダンスくらぶ代表で主宰者の仲井サカエさんをはじめ副代表の赤穴(あかな)寿子さんご夫妻と息子で常時車いす生活をしている英文さん、脊髄損傷の障がいのある今藤浩さん、左半身不随の東伸也さんら20名。当協会の安東善博会長と浅井昭秋理事・事務局長も同行しました。
  公演は当協会と釜山広域市韓日親善協会の姉妹提携15周年記念事業として釜山広域市の市庁舎一階の大講堂で行われました。釜山市中心部にある会場には週日の昼間にもかかわらず障がい者や関係者、一般市民など凡そ500人が集まり午後2時からの開演を待ちました。
  公演の司会は当協会でもお馴染みの釜山協会・金正副会長。東大大学院卒という金副会長の日韓両国語による軽妙な進行ですすめられました。
  プログラムは日本の童謡「赤とんぼ」、「さくらさくら」から高齢者には昔懐かしい「東京ラプソディ」、「星のフラメンコ」、韓国を代表する民謡「アリラン」や韓流ドラマ「冬のソナタ」の主題歌など盛りだくさんのレパートリー。リズムもワルツ、タンゴにサンバあり、行進曲ありで12名の出演者が舞台狭しと車いすを操り熱演を繰り広げました。
  会場には車いすや杖を手にした障害者も多く、舞台の動きに合わせて体でリズムを刻みながら「チョワヨー(素晴しい)」と盛んに声援を送っていました。2時間にわたる公演を終えた車いすダンスくらぶの人たちも「客席と一体になって楽しい演技ができた。これを機に韓国でも車いすダンスがひろがれば」と話していました。

車いすダンス公演のステージ
司会は韓日協の金正副会長
(9月25日)

   

車いすダンス公演を楽しむ
釜山のお客さま

   
 

釜山市長(代理南官杓大使)表敬訪問
(9月25日)

釜山市長へおみやげ(日本酒)を渡す
安東善博会長(9月25日)

   
 

釜山市南官杓大使と記念撮影

 

 広島車いすダンスくらぶの一行は9月23日(水)、福岡国際港から高速艇「ビートル」で釜山入り、釜山広域市韓日親善協会の李鍾均(イジョンキュン)会長らの出迎えを受けました。その足で最初の障害者施設「信愛再活院」を訪問し、さっそく車いすダンスを披露し障害者と交流しました。
  翌24日(木)は2つの施設、「聖友院」「セント・フランシスコホーム」を慰問訪問し、車いすによるダンスを披露しました。はじめて、車いすダンスを観た障害者たちは、目をかがやかせて惜しみない拍手をおくっていました。 夜は広島側の主催で夕食会があり、韓国側から釜山市と施設関係者・釜山協会役員ら18名が参加しました。席上、安東会長・くらぶの仲井代表が李鍾均会長ら釜山側の献身的な協力に謝辞を述べ、李鍾均会長から歓迎のあいさつを受けました。
    3日目、公演当日の25日(金)は午前中、釜山市を表敬訪問しました。市長はあいにく公務で不在だったため、国際大使の南官杓(ナムグァンピョ)氏にお会いし、公演協力に謝辞を述べました。
  その夜は、釜山市主催の歓迎夕食会が会場近くのレストランで行われ、ゲストに釜山市の南大使、日本総領事館から民辻秀逸総領事らが「素晴しいダンスに感動した。これを好機に障害者同士の交流がさらにすすむことを期待したい」と挨拶、広島側から仲井代表が、「支援・協力に心から感謝する」と韓国語で謝辞をのべました。ブッフェの豪華な料理は目移りするほどの種類で、食べきれないご馳走に心を残しながら、ホテルへ戻りました。
  最終日の26日(土)は1日観光にあてられ、竜頭山公園や国際市場の買い物などで楽しい1日を過ごし、翌27日高速艇「ビートル」で帰国しました。
  広島車いすダンスくらぶは1997年に創立され、全国でも草分け的な存在で海外公演もこれまでにロサンゼルス、北京など6回を重ねています。車いすダンスの先進地とも言うべきヨーロッパに比べ、中国や韓国では普及はまだこれからですが、今回の公演をきっかけに韓国での障がい者に親しまれるようになれば、と願っています。

今回の釜山公演では釜山広域市韓日親善協会の李鍾均会長から全面的なご支援を受けました。李鍾均会長は釜山で外科病院を経営しておられますが、障がい者問題にことのほか熱心なことで知られています。今回の公演に当たっても快く受け入れていただき、会場を提供された釜山市当局との折衝、プログラムの作成、観客の動員、障がい者施設の紹介、ホテルやバスの手配にいたるまで大変お世話になりました。当地で事前の打ち合わせをしたうえで綿密な計画をつくり、終始付き添っていただいた金福鎭事務局長とともに公演成功の大きな力になっていただきました。ここに改めてお礼を申し上げます。

 
 

釜山市内

釜山市の障害者施設
「信愛再活院」訪問

障害者達と交流
(9月23日)

「信愛再活院」で
ダンスを披露、赤穴副代表

広島側主催夕食会に参加した人たち
(9月24日)

釜山市主催歓迎会
広島側参加者

歓迎夕食会で挨拶する
李鍾均会長

釜山市主催歓迎夕食会
李鍾均韓日協会会長(右)
日本総領事館総領事民辻秀逸ご夫妻
(隣奥)

 

ご報告
  釜山訪問団のひとりで、車いすダンスくらぶの熱心な応援者だった平本剛郎さん(62)が、10月 1日 福岡市内の病院で逝去されました。
  平本さんは 初めての韓国公演となる今回の釜山訪問を心待ちにしておられた ということで、奥さんとともに車いすで参加されましたが、釜山滞在中に体調が悪化、釜山市内の病院に緊急入院されました。 その後、医師の付添いで公演を終えた一行とともに帰国されましたが、救急車で広島搬送の途中、病状がが急変し、10月 1日 入院中の福岡市救急病院で逝去されました。通夜、葬儀には当協会の安東会長、浅井事務局長も参列しました。
  こゝに謹んで ご冥福をお祈り致しますとともに、釜山で病院の紹介などでお世話になった李鍾均会長ら関係の皆さまに改めてお礼を申し上げます。

  車いすダンスくらぶの皆さんには12月 1日(火)の当協会「忘年・会員の夕べ」にもご出演いたゞきます。