第 111 集 (2013年05月)

□ 過去最多の人出フラワーフェスティバルで
               訪問団を迎え「大邱の日」イベント

①「大邱の日」セレモニー

 初夏の広島の祭り、ひろしまフラワーフェスティバルを舞台に、今年も広島市と大邱広域市の姉妹都市提携を記念する、一連の「大邱の日」イベントが繰り広げられました。
  5月3日(金)から5日(日)までのFF期間中、好天に恵まれて人出は過去最多の180万2000人。大邱広域市から金範鎰(キムボミル)市長ら89名の訪問団を迎え「大邱の日」イベントも盛況でした。
  FF初日の3日には午後1時30分から「大邱の日」を記念するセレモニーが平和公園のカーネーションステージであり、「大邱の日」実行委員会委員長で広島県日韓親善協会の安東善博会長が「日韓関係が複雑な中、大邱からようこそお越しくださいました」とあいさつ。広島市の松井一實市長も「広島市と大邱広域市の長い交流の歴史を更に発展させたい」と歓迎の言葉を述べました。これに対して金範鎰市長は「2年前の世界陸上では広島から200人の訪問団を送ってくれた。私にとって広島は3度目だが、来るたびに親しみを増している。市と市、市民と市民の交流を今まで以上に活発にしたい」と中央政符の動きに影響されない交流が必要なことを強調しました。また、駐広島韓国総領事館の辛亨根総領事も大邱からの訪問団を歓迎するあいさつを述べました。
  この日ステージイベントは、姉妹都市提携を記念して大邱市から贈られた大太鼓を、大邱市から派遣された芸術団のひとり、李仙子さんが高らかに打ち鳴らしてオープン。セレモニーの合間では韓国民団県本部の青年部のグループがサムルノリを、大邱からやって来たシミン高校吹奏楽団の17名がラッパや打楽器を使って「アリラン」、「トラジ」などお馴染みの曲を演奏しました。また、大邱・慶北地域の若手・新人のコーラスグループ「インカントソリスト・アンサンブル」の一行が「オーソレミヨ」やFFのテーマ曲「花車」を声量豊かに歌い上げて詰め掛けた凡そ1000人の聴衆を魅了しました。
  FF初日3日には駐広島韓国総領事館の辛亨根総領事の呼びかけで朝鮮通信使を再現するパレードが行われました。パレードでは大邱広域市の金範鎰市長が正使役、松井広島市長が将軍役、安東日韓協会長が藩主役をつとめました。終了後は「大邱の日」ステージで金市長から松井市長に国のメッセージである国書の伝達の儀式を行いました。韓国総領事館が招いたソウル中央大学の打楽団がパレードと国書伝達式で、伝統の国楽を演奏し花を添えました。

②韓国・大邱マダン(ひろば)

  「大邱の日」イベントのひとつ「韓国・大邱マダン(ひろば)」は例年どおり5月3日から5日までのFF期間中、平和大通りNHK向かいの緑地帯で開かれました。広島市の姉妹都市・大邱広域市をPRするコーナーでは、大邱市が力を入れている医療観光についての相談コーナーを設けて資料配布を行いました。
  また、マダン(ひろば)で人気の「韓服を着て記念撮影」コーナーは例年通り家族ずれや若い人たちで大賑わい。来場者は1日400人を越え、3日間通算で1,220人がチマチョゴリ姿で父親や夫のケータイの記念写真におさまって満足顔でした。

 韓国家庭料理のコーナーでは例年どおりトッポッキ、チヂミ、キムチ炒飯を調理販売しました。また、最近日本でも人気のマッコリも販売しました。今年のFFは3日間とも五月晴れの好天に恵まれ、全体の人出は過去最多となりました。一方で開催中の菓子博に立ち寄った人も多かったことや、今年新たに設けられたB級グルメコーナーの影響で家庭料理コーナーへの来場者は昨年のほぼ1割減の4,200人。売上げも昨年を下回りました。
  しかし、李菊枝さん、佐々木美紀子さんら主婦ボランティアグループが今年も大活躍。広島大学、広島修道大学の留学生をはじめ、短期留学で日本に来ている韓国人学生などがボランティアでお手伝い。店頭で「イラッシャーイ」と大声を張り上げて客を呼び込んでいました。初日の3日には「大邱の日」セレモ二ー出演を終えた大邱からの訪問団の金範鎰市長らがマダン(ひろば)に姿をみせ、主婦らの手料理に「マシッソヨー(美味しい)!」と笑顔を振りまいていました。一般の来場者のなかにも過去の出展で韓国料理にお馴染みになったファンも多く、スタッフに声をかけては韓国の話題を楽しむ人が見られました。
  日本と韓国の間ではこのところ歴史問題などでギクシャクしていますが、マダンに限っては終始和やかな雰囲気でした。
  なお、駐広島韓国総領事館でもFF期間中、中区三川町の平和大通り沿い緑地帯で昨年に続いて「韓国ブース」を開設。韓国食の即売やステージイベントを行いました。

 ③訪問団歓迎レセプション

  「大邱の日」に向けて大邱広域市から広島市を訪問した89名の歓迎レセプションが5月3日(金)午後6時30分から中区のリーガロイヤルホテル広島で開かれました。
  広島県日韓親善協会の安東会長が委員長をつとめる「大邱の日」実行委員会と広島市の共催。実行委員会側からは会員企業(団体)や日韓親善協会の役員ら、広島市からは松井一實市長、種清和夫議長ら両市の合わせて240名が出席しました。
  広島市の松井市長が「2年前、世界陸上で大邱を訪問したときはお世話になりました」と述べると大邱広域市の金範鎰市長は「世界陸上には広島から200人もの皆さんに来ていただいて、お蔭で成功しました。私にとっては三度目の広島。このような歓迎を受けて嬉しい」とお礼を述べました。
  このあと日本式に鏡開き。松井市長と金範鎰市長、李在術(イジェスル)市議会議長、金東求(キムドング)大邱商工会議所会長、崔雨珏(チェウガク)韓国日本協会会長らがステージに上がって「ヨイショ!ヨイショ!ヨイショ!」の掛け声とともに威勢よく樽を開きました。そして両議長が乾杯の発声、懇親会に移りました。
  懇親会では朝鮮通信使行列に参加したソウル中央大学の打楽団が韓国の伝統音楽を演奏し、広島側からは大邱出身のクラシック歌手、車景實さんが歌を披露しました。 続いて広島・大邱の出席者がカラオケの競演。松井市長が低音の魅力で会場を沸かせれば、大邱日本協会の崔雨玉会長は舟木一夫さんの歌った懐かしのメロディ「高校3年生」を歌って大きな拍手を受けました。これをうけて両国ののど自慢が次々にステージに立って会場を盛り上げました。
  最後はアリランの大合唱で懇親の席を締めくくりました。
  なお、この夜のレセプション会場では大邱女性団体協議会の権英順会長が広島県日韓親善協会の安東会長にチマチョゴリ20着を贈呈。安東会長は「韓国・大邱マダン(ひろば)で人気の韓服試着コーナーで活用します」と思わぬプレゼントに大喜びでした。


 ④大邱大太鼓

  姉妹都市提携を記念して1998年に大邱広域市から贈られた大太鼓が、今年もFFで訪れた市民の前にお目見えしました。最大直径2.4メートル、重さ500キロのこの大太鼓、普段は平和祈念資料館のロビーに鎮座していますが、「大邱の日」イベントでは貴重な脇役としてこのところ毎年この時期に資料館下に搬出。市民に太鼓とのふれあいを体験してもらっています。今年もこれまでどおり「大邱の日」実行委員の大川和男さんらが作業を担当し、クレーン車に積んで資料館の狭い入り口を通り抜けて無事搬出と搬入を行いました。
  そして3日の「大邱の日」記念セレモニーで、開始を告げる触れ太鼓の役割を果たしたほか、4日には子供達の打ち鳴らし体験や広島の和太鼓グループとの共演も実現しました。